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肉塊奇譚

どぶ川のきらめきが僕にとって唯一綺麗な想い出でした。

飛行機が上へ落ちていく 

乗客に日本人はいませんでした
処女はいました
童貞もいました
ホモセクシャルもいました
レズビアンはいませんでした
キツツキはもちろんいなかったし
人魚ももちろんいませんでした
僕もいませんでした
僕は必要のない人間でした
なのに其処にはいませんでした
部屋でイタリアのバカンスの夢を見てました
見る必要のない夢を見てました
だから僕は必要がなかったんです
僕が其処にいる必要はありませんでした
ただカラスが鳴いたので目を覚まして
寝惚け眼でテレビジョンの神様を呪いました
今日はそれだけでした、明日もきっとそれだけです
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2018/06/25 Mon. 14:41 | trackback: 0 | comment: 0edit

家事≒火事 

僕は貴女の料理を食べる事はもうできないのだな
貴女の料理が対岸の家事になってしまってからどれくらい経つのだろう
夜空に貴女の顔が浮かぶのをかき消すように必死で自転車のペダルを漕いで
どこへ向かうわけでもない、この街をぐるぐると、ただぐるぐるとして
全てから逃げ切ったつもりなのに「隙だらけだぞ」と月は付きまとい
だから僕は月にこんばんわとごめんなさいと境界線の言葉を発した
そして自宅に帰れば自宅が全焼している
思い出も家族も全て全てが燃えてしまっていて
僕は貴女の事を考える余裕などないのです
なのにこの火力ならあなたのチャーハンを再現できるかな、とじっと火を見て
雲に隠れてしまった月が二度と出てこないよう祈るのでした
2018/01/19 Fri. 18:58 | trackback: 0 | comment: 0edit

夏を知っている 

日差しはどこにも迷うことなく真っすぐに僕に突き刺さり
汗はうろうろと迷いながら滴り落ちていく
ガタガタとうるさい扇風機が温い空気をかき混ぜて静かだ
セミの鳴き声、車のクラクション。夏休みの子供、壊れた扇風機
すべての騒音の中でただ沈黙している僕は静けさをぶち壊すように口を開いた
「死にたい」
夏はもうとっくに終わっている、僕はそれを知っている
2017/12/03 Sun. 14:00 | trackback: 0 | comment: 0edit

眼の旅 

駅のホームで近づいてくる電車の音を聞きながら
グレープフルーツジュースでブロンを流し込んでいます
眼球はすでに1本前の快速電車に乗っていってしまって
今は戸田公園を走っているのがよく見えます
眼球にだけはさよならが言えたので僕はバラバラになっても生きていける
だから僕はこの鈍行電車に轢断されてもいい
だって眼球はどこまでも旅を続けてくれる
和邇ヶ淵だって香良ノ岡だって行ってくれて
きれいな景色を見続けながら僕は果てれる
こんな幸せな最期を迎えてれると思ったのに
目の前は見えないからスマホに遺書が書けないので
今日は和民で一人お酒を飲んで帰ります
その頃には眼球も疲れ果てて帰ってくるので
「おかえりなさい」と言ってあげるのです
2017/11/27 Mon. 09:35 | trackback: 0 | comment: 0edit

僕が生きようと思ったのは 

死ぬつもりなんてなかったんです
そこに120錠の錠剤があったから飲んだだけで
長く眠れるといいなあと思いながら床に就いたんです
夢の中ではサソリが噴水の中を泳いでいました
扇風機が空を飛び、四肢を切断されたライオンが転がっていました
ピエロは子供たちにピンクチラシを配っていて
それを見た子供たちはみな頭が破裂してしまいました
そんな異様な街並みを見て僕は殺風景だと思ってしまったんです
ピエロは僕に近づき「もう帰る時間だよ」と言った刹那
僕は病院にベッドで目を覚ましました
窓の外、突き抜けるような青空を見て死ぬつもりなんてないけど
僕は生きようと思ってポケットに入っていたピンクチラシを破り捨てたのでした
2017/09/26 Tue. 21:07 | trackback: 0 | comment: 0edit