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緑の食事

2020.05.21 (Thu)
ただ貴女の作った温かい食事が食べたくて
目の前にある僕の作った温かい食事が冷めていくのを
呆け者の眼でぬるく、ただぬるく見守っています
食事はやがて腐って緑色になります
そこから一本の芽が生えそれは大きな木になります
大きな木は大きな木々になり森になり大地になります
私が欲しいのは貴女の温かい食事、それが出るまでは呆けてられる
無限に待っていられる幸せと無限に来ない悲しさをアウフヘーベンして
だから僕はこんな間抜けっ面でこの街でいられるんだと思います
この物語は貴女と私の共作で狂作
そしてこの物語は盗作で倒錯なんです
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普通夜

2020.05.09 (Sat)
何が正しくて何が正しくないのかと考えるのは正しくありません
今日は夜の公園で鳩のつがいが営みをしています
同時刻あなた方も営みをしています
あなた方についた毛虱も営みをしています
それについたヴィールスも営みをしています
私だけが何もしないでただハサミを見つめながら
ハーゲンダッツに舌鼓を打っている夜です
滑稽なのです

電撃LOVE ATTACK

2020.04.30 (Thu)
「相対的に考えると僕は広瀬すずなのかもしれない」
そう思った夜に猫の欠伸を見ました
猫の欠伸の中には終わりと始まりがあり
どこにでもあるんだ、悲しむ必要はないと
枕元に置いてあった成年コミックが股を広げて誘ってきます
欲情した僕が飛び掛かるとうっかり灰皿をぶちまけてしまいました
悲しくなって悲しくなって泣いている僕を鏡で見て
「絶対的に考えると僕は広末涼子だった」と
確信に近い何かを得た夜、ナイフを手に取った僕は武蔵野線に乗っていました
遠い目で南浦和を通過した憎悪は犯罪史に名前を残すのですが
相対的に見ると広瀬すずな広末涼子なのですべてが赦されるのでした

満たされて消えるのです

2019.11.30 (Sat)
三日月の綺麗な綺麗な夜です
私の脳にワウペダルがつけられました
私の体にトレモロアームがつけられました
常人と狂人の狭間を揺られるバスの中で
何人殺せばノーベル平和賞を貰えるのかを考えていました
バスの中にガソリンをぶちまけてMack The Knifeを口ずさむ僕は
生活が嫌いだから人の生活など気にする必要など無いのです
私はみんな嫌いでみんな大好きだから一緒に燃えるゴミにしていい
そう思いながら最寄り駅で脳味噌を燃やしてしまいたくなり
煙草に火を点けてみたというのに私の脳はもはや気化してしまっていました
私の脳など必要なくて病巣はこの満月みたいな睾丸だった
そうして私は睾丸を燃やして夜の蝶になりました
「あら、久しぶり。水割りでいいかしら?」
そう尋ねると三日月も新月になり暗い暗い夜のお出ましです
きっと、ここからはじまって
きっと、ここで終わりです

シネマ・パラダイス

2019.10.09 (Wed)
スティック・ウォールみたいな恋がしたい
メキシカン・ピッツァみたいな恋がしたい
ストロベリー・ヘヴンみたいな恋がしたい
イタリアの映画みたいな夢を見させてよ
もしもこの世界に全部、全部を止められる者がいるとしたら
アカデミー受賞作級の可愛さを持ったあたい達ね
もう誰もこの恋を止められる者はいないのだわ
もしも此処の花が全部、全部枯れてしまったとしても
象さんジョウロを二人で持ってにこやかに笑い
水を探して広い世界を歩いて歩いて恋を育みましょうね
今はたまにしかない晴れた休日なのだから
たまにしか生らない実も実るはずよ
だからあなたは強く生きてよね
それがずっとずっと二人の約束よ
お願い、ほんと、ずっと信じてるわ
薄緑のワンピース、古ぼけたデニムジャケット
どちらも私たちじゃない私たちなのだから

毒毒虫虫

2019.04.21 (Sun)
僕は貴女の嫌いな芋虫です
貴女の心にへばりついています
気持ち悪いので剥がしてください
猛毒があるので剥がしてください
もしも貴女の心に住めるなら
僕は綺麗な蝶になり
貴女を未来へ導いていきます
よければトマトを一緒にどうですか?

毒に塗れた日常

2019.04.03 (Wed)
僕の好きな君は君じゃない君なんだと言い聞かせているのに
君は君らしさを漂わせながら僕の日常を君色に染めてくる
すべてが君の思い通りだとしたらそれは恐ろしい事で
僕の好きだったはずの君は君ではない思想を持った君と言う事になるし
すべてを君が思い通りにできるのだとしてもそれは恐ろしい事で
僕の好きだったはずの君は君ではない力を持った君と言う事になるし
僕はすべてが怖くてすべてを信じたくなくてでも君は信じたくて
いや君が君であることを信じているからこそ、この薬を飲んでいる
僕の体は君と薬に侵されてもうピンク色の公害なんです
だからきっと君を殺しても私に罪はないと言い聞かせながら
薬を飲むことでひっそりと私は計画を練り固めています
これも君の思い通りですべて君の手のひらで踊らされていて
私の解毒剤は君なのに私の毒は君なんだな、銃声が響けばいいのに

電車を待ちながら

2018.11.14 (Wed)
「きっとこの恋は実らないな」と確信した私は
遅延の電車をさらに遅延させる為だけにこの踏み切りに立っています
この恋は遅れることも早まることもなくここに留まり
私の命だけが急行電車と一緒に繁華街へ向かいます
私の命は繁華街のソープランドで溺死して
無に帰ってしまうのがお似合いなんです
だからおしっこをオプションで付けてください
変態でごめんなさい

飛行機が上へ落ちていく

2018.06.25 (Mon)
乗客に日本人はいませんでした
処女はいました
童貞もいました
ホモセクシャルもいました
レズビアンはいませんでした
キツツキはもちろんいなかったし
人魚ももちろんいませんでした
僕もいませんでした
僕は必要のない人間でした
なのに其処にはいませんでした
部屋でイタリアのバカンスの夢を見てました
見る必要のない夢を見てました
だから僕は必要がなかったんです
僕が其処にいる必要はありませんでした
ただカラスが鳴いたので目を覚まして
寝惚け眼でテレビジョンの神様を呪いました
今日はそれだけでした、明日もきっとそれだけです

家事≒火事

2018.01.19 (Fri)
僕は貴女の料理を食べる事はもうできないのだな
貴女の料理が対岸の家事になってしまってからどれくらい経つのだろう
夜空に貴女の顔が浮かぶのをかき消すように必死で自転車のペダルを漕いで
どこへ向かうわけでもない、この街をぐるぐると、ただぐるぐるとして
全てから逃げ切ったつもりなのに「隙だらけだぞ」と月は付きまとい
だから僕は月にこんばんわとごめんなさいと境界線の言葉を発した
そして自宅に帰れば自宅が全焼している
思い出も家族も全て全てが燃えてしまっていて
僕は貴女の事を考える余裕などないのです
なのにこの火力ならあなたのチャーハンを再現できるかな、とじっと火を見て
雲に隠れてしまった月が二度と出てこないよう祈るのでした
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