カラスのコート
カラスが一羽、私に話しかける
「寒いでしょう?私は黒いので寒くありません」
私は返す
「私のコートも黒いので寒くないよ」
カラスは言う
「私が不幸の鳥と言われる所以を知ってますか?
黒いからですよ」
私が黒いコートを着ていると言う事は
不幸な事だとカラスに教えられた今日この頃
どぶ川のきらめきが僕にとって唯一綺麗な想い出でした。
カラスが一羽、私に話しかける
「寒いでしょう?私は黒いので寒くありません」
私は返す
「私のコートも黒いので寒くないよ」
カラスは言う
「私が不幸の鳥と言われる所以を知ってますか?
黒いからですよ」
私が黒いコートを着ていると言う事は
不幸な事だとカラスに教えられた今日この頃
産声が聞こえた
またろくでもない物が
産まれたのだろう
狂気も憎しみも悲哀も
全て産まれつくした
何が新たに私の中で
産まれたのだろう
私はただ座っていた
ただ座って待っていた
何を待っていたのかは
すでに忘却の彼方
傍らのバラは枯れ
カップのコーヒーは腐り
愛犬は骨になった
それでもただひたすら座って待っていた
ただひたすら座って待っていた
そして終に訪れたのは静寂だった
気づいたら静寂の中で座っていた
しばらく考えまた待つ事にした
静寂以外の何かを
人は皆、頭の中に風船が浮かんでいる
それは人の感情で
膨らんだり縮んだりする
怒り悲しみに膨らみ
笑い楽しみに縮む
そしてカテゴライズできない感情は
風船を割ろうとするのだ
風船が割れれば・・・
待っているのは狂気だ
割れた風船が大きいほど
大きい狂気が待っている
春は歯軋り
夏は蝉の音
秋は啜り鼻
冬は雪の音
一年中、頭痛だ
顔を描くのが苦手だ
人の顔は安定性が無い
聞いた話しによると
シンメトリーを保ってる
顔など無いそうだ
その上、笑ったり泣いたりする
顔は変化する
その一瞬を捉えるのは難しい
今日は魚になる事にした
部屋の中をたゆたい彷徨った
水は空気だ
空気は水だ
水面に顔を浮かべれば月が見えた
真ん丸のお月様だ
この水が酒ならば月見酒を
一杯ひっかけられたのに
大地震が来た
だが私は眠かった
ベットの揺れる中、寝ていた
そうしてる間に死者は出た
寝ていただけなのに
なぜか凄い罪悪感を感じる
まるで私が殺したような・・・
私は愛煙家だ
煙草なら大概の銘柄を吸う
私は煙草によるリラクゼーション効果を
”煙を吸う事”ではなく
”煙草を燃やす事”で得ている
一口吸うとスーっと煙草が燃える様は
私の破壊欲を満たしてくれる
私はちょっとしたピロラグニアなのかも知れない
爆笑問題の太田光氏は
”煙を吸う事”より”煙を見る事”に
リラクゼーション効果を求めていると言う
楽しみ方は人それぞれだ
頭が狂って可笑しくなったら・・・
時計屋に行けば屠殺してくれますか?
ネジももう回らないんです
針ももう動かないんです
歯車も止まっています
唯それが
可笑しくて可笑しくて
笑いが止まらないのです
時計屋のおじさんも可笑しいんですか?
二人で笑いませんか?
あっはっはっはっは・・・
その笑い声と共に時計の鐘が鳴る・・・