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BABY CRASH

揺り籠の中に赤子がいた

オギャアオギャアと五月蝿く、やかましいのである

なので私は赤子を揺り籠から取り出し床に叩きつけ殺した

そして気づいた

本当の私はまだ赤子なのであると

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ひづめ

馬蹄の音が聞こえた

馬など走っているのだろうか

そう思い窓を開けてみた

私の家の眼下には競馬場があった

七頭の馬が走っていた

私は蹄のパカパカと言う音とともに春を感じた

つぼみが開いた

狂い咲く桜

この季節には勿体無い

冬のピンクに為れば好いのだ

そういえば今日は何も食べていない

さくらんぼの実るのを待つ事にしよう

朝の青さ

昼の黄色さ

黄昏の赤さ

どれも憎ましい

ぺディグリーチャムとベス

私の家にはベスという黒い犬がいた

中学生くらいの時に飼っていたのだ



ある日、ベスの散歩に出かけると天空から天使が降りてきた

ベスと私は目をキョロキョロさせながら天使が降りてきた事に驚いた

天使は私たちにこう言った



「貴方たちを千尋の谷に落とします。

 二人で協力して登ってきてください」



すると地面が二つに割れ、足元に谷ができた

私とベスは落ちてしまった

10mほどの浅い谷に



最初は私もベスも必死で登ろうとした

しかし取っ掛かりの少ない垂直な岩壁を登るのは容易い事ではなかった

2m登っては落ち、3m登っては落ち・・・

何日もそれを繰り返した

しかし一向に登る事は出来なかった



4日すると空腹で私もベスも登るのを諦めていた

しかしこれではいけないと思い私はまた登ろうとした

また2mほど登ったところで落ちてしまった

すると疲労困憊しているベスの上に落ちてしまった

ゴキっと鈍い音がした



・・・ベスは動かなくなってしまった

私はベスを食べる事にした

空腹に耐えかねていたのだ

ポケットの中には中学生のくせにタバコとライターをいつも入れていたのだ

上着を脱ぎそれをベスの上に被せ火をつけた

するとベスは天使になった

天使はこう言った

「貴方にはお仕置きが必要のようです

 力を合わせるどころか殺してしまうなんて

 貴方にはペディグリィーチャムがお似合いです」

私の意識が遠のいた



気がつくと私はベスになっていた

上を向くと岩壁を攀じ登っている私がいた

すると私は私に目掛けて落ちてきたのだ

私は逃げようとするも、体が動かなかった

その刹那、私に私がぶつかりゴキッという鈍い音がした



私の意識は再び遠のいた

何かが私の上に覆い被さり、とても熱くなった

そして気がつくと私は天使になっていた

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