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私は世界を憎む

太陽はなぜ昇るのだ

夢からなぜ目覚めてしまうのだ

暗闇の中で夢の世界を闊歩する事も永遠ではない

永遠の夢が訪れるのは世界のなくなった後か

世界は嘘なんだ

私は嘘なんだ

いくつも隠し事をしている世界は嘘吐きだ

私は世界に総てを曝け出してきた

私も世界も疫病に罹り死んでしまえばいいんだ

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生まれ変わり

うたた寝をしていたらニクイロババヤスデになる夢を見た

樹を上へ上へと這って登って行く夢

私の前世の記憶か

それとも来世の前兆か

共産党の喧しい街宣車の声で目を覚ますまで私は確かにヤスデだった

もし生まれ変わったらヤスデに生るのもよい

だが私は何度も言うように生まれ変わるなら食パンに生りたい

なぜ食パンか

それは耳があるからだ

トースターで荼毘に臥され体が焼ける音

カリカリに為ってしまった私をパリパリと食べる音

それを聞きたいのだ

口は無いが私は苦痛に悶えるだろう

だがそれくらいしないと私の今生の罪は消えないだろう

望みは次の次の転生だ

だが食パンを繰り返すのも、私のマゾヒズムに快楽を齎すだろう

だが苦痛を繰り返すのも苦だ

次の次は電子レンジに生まれ変わりたい

竜宮城

駅前にあるパブ竜宮城へと足を運んでみた

舞姫や乙姫は全員、三国人だった

しかも全員、お世辞にも可愛いとは言えなかった

引き止める三国人を振り払い茫々の体で逃げ出すと私は白髪になっていた

風は凪

私は海岸沿いの道を自転車で走っていた

街はどんどん遠くへ離れていった

そして街が見えなくなり雑木林と平行して海があった

その中を風に為ったかの様な感覚で走っていた

秋の優しい陽射しが木々の隙間から流れてくる

風は凪

だが潮の香りが流れてくる

その中を走る私は風に為ったのだと言う優越感に陥った

至福が訪れた

刹那、「ギュルルバスン!」という音がして私は驚いてブレーキをかけた

何かの機械の部品が落ちていた

どうやらそれを踏んだらしくパンクしていた

機械のコードがチェーンに絡まり無様な姿になっていた

サイクルコンピューターによると20kmほど走った所だった

・・・こんな所でどうしようと落胆していた

目的地の隣街まで10kmはある

そこまでは永延、この雑木林と海の押し競饅頭だ

しかたがない・・・意を決し自転車を押し、歩きはじめた

風は凪

潮の香りだけが漂い、陽は落ち林の向こう側だ

さっきまで、あれ程に爽やかだった時間は過ぎ去った

今、残るのは落胆した気持ちと回転しなくなった後輪の重たさだけだ

しばらく歩くと雑木林の方へ入る道があった

舗装はされてないが、真新しい車輪跡

先を見ると白い軽トラックが止めてある

もしや、人がいたら街のある所まで乗せて行ってくれるかもしれない

そう思い、未舗装の道へ入って行った

さっきは車の陰に隠れて見えなかったが小屋があった

見貧らしい古い掘っ建て小屋

車を止めてそこに入っているのだろう

私は「すいませーん」とドアをノックした

窓の方を見る

ベニアで出来た壁の窓には人影は見えなかった

車を見るとドアのキーは開けっ放し

おかしいなと思いドアを開けてみる

ドアはキィィと軋みながら開く

中には人がいなかった

会議に使う様なテーブルがドスンと置かれ、その周りにスチール製の書類棚があった

とても整理されていた

どこにも人が隠れれるような場所は無い

テーブルの上には「日誌」と書かれたノートが一冊、ポツンとあった

書類棚にはファイルやノートが大きさ別に整理され、置いてあった

何かの事務所なのだろうか

私は「日誌」と書かれたノートを手に取り捲る

こう書かれていた



10月9日

今日はつんぼの日

誰も喋れない

10月10日

今日は盲目の日

誰も見れない

10月11日

クロンボが立小便をしていた

10月12日

インディアンは嘘をつくのか?

10月13日

無意味な日々を過ごした

今日で終わりにする

10月14日

昨日で終わった

10月35日

(再開予定日)





・・・ここで終わっていた

意味はわからない

しばらく待つ事にした

ここにはトイレがないようだ

雑木林の中に用をたしに行ったかもしれない

・・・1時間ほど待っただろうか

誰も来ない

私は諦めその建物を出た

・・・車が無い

私はエンジン音を聞き逃したのだろうか

元の海岸沿いの道に戻り日誌に書かれた事の意味を考えながら歩いた

風は凪いでいた

秋の音

幾許かの音が耳の奥で産声をあげる

その刹那に音は声となり私の脳裏に

薄っぺらいビニールシートのように張り付く

音は其処で生まれたのか

元からどこかにあったのか

ただ声はここで生まれた

宇宙の球体をなぞるように光線が宙返りを繰り返す

光は生まれた時から光速なのか

初期加速はどこでついたのか

宇宙の真理についてはまだまだ勉強不足だ

そういえば今日は久々の快晴だった

光線がいくつも交差し、声がどこからでも生まれた

それは喜ぶべき事なのか

光線は声を運ぶ

空気は光線にまやかされる

今日の空気は40%だった

食パンになるにはまだ力不足である

地獄には食パンがあるのだろうか

地獄には光線も声もないだろう

だが一縷の望みとして食パンくらいはあっても善いだろう







「心中、ただ溺れる鮑の心

 蜩の体に

 稚児の頭脳」




今日は数学のテストだったので答案を返す前に

プリントの後ろにそう走り書きした

イノセンス

言葉に意味を求めるのは愚行である

ナンセンスな事はナンセンスで片付けてしまえば善い

それでも私は食パンになりたい

インドネシア

文豪は文章を書いた

だが明き盲にはとてもじゃないが読めない

才のない者にはその文を理解できない

そういう物なのだ












私は食パンになりたい

赤信号を渡ると危険だと皆が知っている

だが私は車線の真ん中で大の字になっても轢かれない

それは世界が嘘だからだ

私は人を殺しても構わないのだ

世界は嘘なのだから

今日も今日とて曇り空

小蝿が腐った脳味噌を占拠している

それは腐りきった自己同一性を壊そうと

脳味噌に卵を産み付け蛆虫を涌かすのである

そういえば最近は雲が多い

この曇天は蛆虫の見せる幻覚なのか

または捨てきれない霞を自覚させているのか

どちらにしろ私の熟れの果ては腐乱死体だ

ラッキーストライクでも吸おう

少しは幸運に恵まれるかもしれない

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