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顔面神経痛

窓に映った苦悶の顔が私だというならば

その窓の向こうで卑猥な顔をしているのは誰だ?

世界をデュアリズムで語るのには丁度いいが

私以外は誰もいないこの部屋に梟の眼差しを

放射線を描き発するのは私の妄想の産物である事を

正面から否定できず斜め35℃の角度でやんわりと否定する

しかし存在していた物は妄想だろうが空想だろうが

この世界のどこかにいると私は信じて止まない

それすら否定してしまった時に私の宇宙は

音もなく静かに息を引き取ってしまう気がし

終焉の恐怖に私は何も考えない呆け者の態で

薄っすらとカーテンコールを考えてしまった時に

私は苦悶の表情で必死に卑猥な顔を見ようとするのだろう

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夜のセラピスト

突然に目が見える事に恐怖を覚えた

目は見なくてよい物を見てしまう

同時に耳が聞こえる事に恐怖を覚えた

耳は聞かなくてもよい物を聞いてしまう

したり顔で蝙蝠が私を見ているのは

超音波が私の脳髄から飛んでいるからだ

ソナーさえあれば私の落し物は見つかるかと思ったが

何を落としたかという記憶まで落とした私は

五感をすべて失うという語感を楽しみつつ

物を言わないただの死体になるのだろう

チーズケーキ

乳呑児だった頃から今日までを道形に

耽々かつ坦々と歩いてきたわけだが

自分の死が近づいている事に対する実感は

湧かないと言えば嘘になる

ラジオのスピーカーからも

ボトルガムの容器の中からも

三丁目のタバコ屋の角からも

どこからでもマグマの様に湧き

私は恐怖で寝れない生誕の日を過ごしている

今日が過ぎてもこの恐怖は拭い切れずに

尻尾の様にまとわり付いて離れないだろう

足は歩みを止めずに死に着々と歩いている

それが普通だと言う貴方方の感性は貧相だ

誇大図書館

黄昏時の埼玉県は海無し県ではなくなるのだが

私はほぼ同時刻に知恵遅れになってしまう

単細胞の脳はシナプスが繋がらず何時ぞやの

私の家で途切れた連絡網を思い回す電気信号を

マングローブ畑でマンドリンの音色で発する

家族がハワイへ行くと言うので雨が降っていることを

嬉しがっている私の性根は腐っているか醗酵している

往々にして醗酵物というのは異臭を放つものだが

私の部屋には青酸ガスの匂いが充満しており

いつでも私もハワイにいけると言う詭弁を

所狭しと壁際に並び立てているのだ

そこに列挙されたのは私の脳味噌でありブレインだ

いつでも燃やせるようにと死ぬ気の炎は絶え間ない

コーヒーブレイク言語野

「どうしてですか?」

無機質にな質問に無機質に答える

「動くから殺した」

それ以外の何でもない

蒟蒻問答をする気もない

殺されたのは私だ

答えはYES!

自分は死んでしまっているのだろうと言う机上の空論は

狐の嫁入りと共に何処へ消えてしまったのだろう

先ほどまで見えていたはずの陽炎は逃げ水になった

クーラーの陽気に逆上せながら見捨てられる想像を

活動写真のように鮮明に弁士までつけての

大迫力48インチプラズマテレビでしてしまうのは

傷ついても軟膏も赤チンも要さなくさせるため

私に必要なのはカルモチンやハルシオン果てはシアン化カリウムだ

悪夢のような体育座りは若者の文化にさえ影響を与える

家路につく頃にはお昇りさんの精神薄弱者でしかない

安住の地はここでいいのか?本当にいいのか?

枯渇したダムの話

ポリエステルの城が崩れようとしている

梅雨の空に紅い夕焼けの香りが

ほんのりと漂ってくるのはいいのだが

燃えているのは空ではなくてるくはのるの

残していったアリストテレス主義の末端だ

逆立ちした空の上では蛙すら鳴けずに

即身仏となるのも時間の問題だと言う政府の

自分本位な考え方は国家を繁栄させるに相応しく

私は自惚れの感情に浸りながら舞う事にする

季節外れの曼珠沙華を眺める生活に押し潰さながら

錠の落ちる音で終わらせて

脳が逃げたがっているのか鍵を家捜ししている

私の鍵は一体なんだったかも覚えていない

覚えているのは君が死んだ日に

スケトウダラを食べた事を思い出せない事くらいだ

何日も雨が続くと脳は干からびて照る照る坊主となり

四方八方に電話をかけトリプルブッキングなぞを噛まし

右往左往しながら総ての用事をキャンセルしてしまう

そんな脳に私は出て行ってもらいたいのだが

鍵を思い出さなければ鍵を渡す事すらできず

鍵穴にやたらめったら物を突っ込んでみるものの

チューイングガムなぞを突っ込んでしまったので

鍵穴にはもう鍵は入れられず私の脳は

私と存在するしかなくなってしまったのだ

脳は気化するので毎日少しづつ部屋の隙間から

出て行っているようなのだが実感が有り余っている

犯人は東海人

私の記憶を誰かが盗んでいるとしか思えない日々だ

鸚鵡の様に同じ言葉を繰り返すだけの

目覚まし時計に私の面影を垣間見た

電池さえ抜けば止ってしまう時計は

三国人の電気泥棒に壊されてしまうか

はたまた知恵遅れの痴人に玩具にされるか

私は第三者で在りたいが故に今の今を

側頭葉だろうが前頭葉だろうが

脳味噌に楔を刺したいのだが

脳味噌はもはや味噌ゼリーとなった

名古屋にお越しの際は是非わたくしの

食品衛生法に反する腐った味噌カツを

フードファイトの様に貪ってください

家猫主義者

猫が愛らしい瞳で私を眺めていた

私はまだ猫を愛おしいと思える心を

持っていた事に限りのない安堵を覚えた

私の肥溜めの心には誰も近づきたくない事を

淋しい事ではあるが知っている

現に猫の眼差しは軽蔑の眼差しであり

それを愛おしいと感じた私はマゾヒストだ

ニヒリストの世界では猫は神なのだなと

朝焼けの空の眼差しを蔑ろにして恍惚としている

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