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夏の前日

蝉時雨が選挙カーのように泣いていた

荼毘に臥される煙は私には見えず

玩具を燃やしている煙と勘違いする事もなかった

蝉はあれほどに泣くのに涙は出ないのだろうか

だとすれば私は蝉なのかもしれない

貴方の分まで七日間を精一杯生きようと思います

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色々な轍

最果ての地の脳のバス停で誰かが降りてきます

インスリンを注射しない午前2時は苦痛でしかなく

とぼとぼと蛞蝓の歩みで家路に付くものの

私にとって最早禁忌とさえされる朽ちていく部屋は

私の翳りゆく顔色にみるみると薄い赤に変わっていきます

月は緑、星は紫、空は青、部屋は赤、私は白

それでも私は貴方を愛さざるを得ないのでしょう

貴方が例え世界中のどの色に属さないとしても

寄生ラッシュ

貴女は本当にベラベラとよく喋る

情報の価値観から言えば貴女は無一文だ

道端で靴磨きをしながら靴箆になりなさい

私の誇り塗れの革靴をペロペロと舐め

快楽を感じながら果てればよいのに

貴女は私の期待を裏切るのだ

悪意に満ち足りたジストマの様に

糞尿に塗れた余生を過ごしなさい

その間も私は貴女を憎み続けるだろう

熱中傷

乱反射を繰り返す光はトイレの中まで

キラキラと輝かせなんとハレンチなのだろう

光は光の匂いしかしない様に

私は私ではない匂いしかしない

いくつもの視線の宙返りが床から見える

それは私に永遠に眠って欲しい者の

嫌がらせ的な表れなのだろうと

夏バテに相応しい寝苦しい足音なのだ

定食屋にて

食事中に貴女の顔を思い出したくない

貴女の顔は綺麗でとても澄んでいて清楚な

腐ったオレンヂの様な匂いを発する汚物の顔だ

食欲は失せ吐き気をもよおし楽しいランチタイムが

断末魔の聞こえる阿鼻叫喚の地獄絵図の拷問だ

生ゴミは生ゴミらしくリサイクルされるのが相応

貴女は土へ帰り野に咲く花々に成りなさい

38度

ぶん投げた感情はスーパーボールの様に弾み

私の思ったよりも200フィートは高い所で

放物線をクレヨンで描きながら凱旋帰国しました

明日の晩御飯には七面鳥の丸焼きが出ます

頭痛が酷いのはきっと金儲け主義に塗れている

白人、黒人、黄色人種のせいでしょう

サウンドシステム

雨の音がする

クーラーの音がする

猫が鳴いている

私の声は私にしか届かず

花の香りのするところには

逝けないだろうと悟った

しかたがないので首を括った

それしか策はなかったのだ

苛立ちの朝勃ち

脳味噌を捥ぎ取りたいほどイライラしている

そのイライラがどこから来たのかと言えば

私にも皆目検討が付かない所をみると

生まれた時から既に脳に存在していたのではないか

牛乳色をした脳は腐り始め生まれた時の脳など

覚えているはずも無く折角の精神安定剤も

私の心にも脳にも全身全霊に響かないのだ

感情が暴れだした時の事を考えた結論だが

私は無脳症児として日々をサナトリウムで

日がな一日天井の染みを眺めながら暮らせばいい

逃げと思割れても仕方がないが鎮座しているよりは

走った方が健康にはいいのだ

恋人はサンタクロース

逃げ場を失った窮鼠は東京タワーを頭から

丸齧りしながら思うのです

私は今までライトアップされたことがない、と

電球はいくら貪り食った所で腹の中では光らない

その事はバカな金儲け主義のミッキーマウスには

到底解らない全人類の心理とでも言うのでしょうか

それを知る為に私は季節はずれのクリスマスツリーに

生首を飾りつけながら勃起するのです

冬将軍様、貴方はいつ鼠を凍死させてくれるのですか?

容赦のない傍観

全身を嘘が駆け巡り赦されていきます

今日のように気分のいい日はそんな気分です

でも貴方はどこへ行っても嘘を振りまくのでしょう

私の様に透き通った体を持っている人は稀少だから

赦される事のない日が必ず来ます

その時は私は貴方を庇う事もせず傍観します

それが私なりの復習の赤い日なのです

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