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僕は芸人です

目が覚めたら死んでいた

もっと詳しく言えば私の精神は死んでいたのだが

体だけが宙吊りになって辛うじて生きていた

眠りとは自分が自分ではなくなる事

心だけが佐賀県に行ってしまい体は三重県だ

窓の隙間から覗けば見えるのはバイストンウェル

ベースギターのリズムが刻まれる脳内に浮かぶ島

此処が何所だか私が誰奴なのかわからずじまいで

再び夢の世界へ飛んで逃げてしまうのだ

私はずっと一人だ

これからもあのダンスホールで一人で踊らなければいけない

そう思うとどんな激しい曲ですらバラードに聞こえてきて

後ろに浮かぶ影法師は埼玉県民だなと助けを求めるのでした

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二重拘束

私のこのイライラが何処から来るかと言えば

線路の向こう側にある自由の方角だ

決して目の前にある臙脂色の壁紙でもないし

後ろにあるサナトリウムの鉄格子の中でもない

汽車の轟音に掻き消される前に自由を見たい

だが私の足は既に薬禍で朽ち果てているし

自由を手に入れた所でテレヴィジョンの神様は

決して私には微笑まないだろうと

キャプテンストライダムに火を放つのでした

日和見主義者

美人が水を浴びる様に飲んでいるのだが

私はそれを見ながらの自慰を楽しんでいる

打ち勝たねばならないのは私自身なのだが

自分の性欲にすら勝てない私を

縮こまった亀がじどりと見つめニヤニヤと呟くのだ

「お前は誰と戦いたいんだ?」

私は誰の血も見ずに自分の血だけを見たい

リストカットを繰り返し

オーバードーズを繰り返したい

反響するのは私の声ではない、母の声だ

私は母の声を聞きながら亀を擦ったのだ

今日は終戦記念日だと言い張るキチガイは私だ

カラスのハート

三匹のカラスがこの寒空の下鳴いています

何を求めて鳴いているのかは薄学な私には解りません

ただ「カァカァ」という今にも空中に溶け出しそうな声が

私の頭上三メートルを秒速二センチメートルで通り過ぎ

阿呆なのは私なのだと私ですら涙を流すのです

これから続くのは何かと考えた時に思い浮かんだのは

ただひたすら泣きじゃくる私です

ただひたすら醜い私です

ニュースで流れてくる不慮の事故にすら涙する私です

私はカラスより弱いのだと

空中三メートルを秒速二センチメートルで飛んでいきます

はためかせる羽すらないというのに

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