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十日目の夢

狂人は狂うのが解る時の恐怖で狂うのだ

壊れてしまうのが幸せだと銃口を咥えても

フラッシュバックの恐怖に引金に指も掛けられない

貴女の笑顔は引金を引こうとしてるのか?

それとも押さえていてくれているのか?

十日目に貴女の夢に苛まれなくなっても

この気持ちが安堵か焦燥か解らないまま

下井草で私は狂いに狂ったのだ

誰に嫌われようとも構わないと狂いに狂ったのだった

疲れきった電車で見るのは貴女の夢だった

俯きながらの帰り道、恐怖ですれ違う貴女を見れなかったのだ

私は夢に生かされているのか、貴女に生かされているのか

どちらでもいい、早く引金を引いてくれ

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オカサレタ

貴女に浮かれた体温はクリスマスに爆発しました

高熱に慄きながら眠りに就くものの

家族の中にありながら、私は孤独なのです

一人、熱に魘されるのも一興かと思えば

夢の中では貴女の甲斐甲斐しい膝枕です

夢でも現実でも私の弱弱しい姿です

私は今まで以上に貴女に浮かれた体温で

関節痛すら気にせずスキップが出来そうです

ロキソニンよりも貴女が一番の薬です

ジェネリックなんて存在しない

貴女は唯一無二だと洟を啜るのでした

世界一の夜明け

幸せの鳴り止まない朝、中国人が呟きかける

「マッサージ、サンゼンエン」

売女に心を許す様な隙間はすでに埋まり

どんなに重い荷物を持っても軽やかなステップが止まない

私はどんな中国人より素晴らしい中国人を知っている

私はどんなスープより温まる笑顔を知っている

脳裏に焼かれた何枚もの笑顔がSDカードを飛び抜けて

全身を駆け巡るのが日々の動力源なのだ

悪戯に転がした栗の時間を忘れたくない

神様が生まれてきた事を切に感謝する山手線

電車に写るにやけた顔はどんな冬でも溶かしてしまう

私は貴女になら何億円でも払っていいと、思っているのだ

何もない世界

耳が痛い時は耳がなくなればいい

目が痛い時は眼がなくなればいい

言葉の出ない時は口がなくなればいい

頭の痛い時は頭ごと捥げてしまえばいい

貴女の事を想う時は貴女がいなくなればいい

そうすれば五感を総て失う事が出来るのだ

冬の雨水

雨は私のスキップを止める理由にはならない

穴ぼこだらけの靴でスキップをし

氷雨でいくら足が凍えようとも

足は上下運動を繰り返すのだ

私の足がなくなればいいのだ

跳ねる私のリズムに合わせて気持ちは

どんどんと膨れ上がっていくのだ

昔は歌えなかった歌が口から自然と溢れ

リズムを加速させるいいガソリンだ

何よりも日々、眼に飛び込んでくる

貴女の笑顔が一番のガソリンなのだ

私の足がなくなり

私の口がなくなり

私の眼がなくなればいい

貴女の笑顔は永遠に続けばいい

膨れ上がって水死体の如く醜いまま爆発する前に

私の心だけなくなる事を雨空に願っている

弱虫

踏み切りの呼んでいる朝の再来だ

もう貴女の夢は見たくない

私に劣情以外の感情を気づかせてくれた貴女を

穢してしまう劣情に溢れた夢は見たくない

私の心の半分は貴女の周りを飛び回り

貴女を照らしている電球だ

残りの半分は光の群がる黒い蛾なのだ

光と燐粉で真っ白にしてしまう前に

去らなければと歩き出す私に

寒さと心寂しさは踵を返すのに良い言い訳だ

光の中にいる貴女を照らすのも

光を遮ってしまうのも

私のまだ小さな夜行虫の羽のせいだ

劣情の残っていた安堵感と

劣情の残っている焦燥感は

羽ばたきのリズムと共に加速していくのだった

ありがとうございます

缶の中にあったのは安い酒ではなく

私の安っぽい本当の言葉でした

強くなりたいのに弱らないと

言葉すら贈れないのが私なのに

帰り際の小包が携帯電話の中で笑っています

目白通りのスキップは何処までも止まらず

鼻歌混じりに涙も混じり混沌とした明け方に

私は本当に小汚く地面を這いずったのです

泥のついた顔は貴女の綺麗な笑顔とは対照的でしたが

今まで生きてきた中で一番生きている顔をしていたのでした

頭痛の治まらないのはきっと今が幸せだからなのだと誤摩化します

でも今現在、僕は貴女のお陰で生きているというのは事実なのです

君と虎と魚たち

今日は夢現で水族館に行ってきたのだ

虎に跨がった貴女と水中トンネルを歩く

しかし隣にいるのは私だったのか?

マジックで顔を塗りつぶされていたのだ

私ではないし、貴方でもないし、誰でもないのだ

大水槽でジンベイザメの出産を見て

輝く貴女の顔が脳裏にこびりついて離れない

私は虎の胃の中で眠りにつこうと思った

夢は夢であるから救われるのだ

もし夢でなければと考えるとゾッとして止まないのだ

KeyWord

言葉ほど煩わしいと思った物はない

何時でも其処かしらに溢れ

何かしらの言葉は当てはめる事ができた

私は今、言葉を探している

扉を開けれる言葉を探している

ただ一つだけ何処かにあるはずなのに

溢れ出てくる言葉の中には見当たらないのだ

もしかすると帰り道に落ちていたかもしれないのに

引き出しの中に入っているかもしれないのに

人参の様に目の前にぶら下がっているかもしれないのに

ポケットの中でぐしゃぐしゃになっているかもしれないのに

私はそんな言葉一つも選れないのだ

自分の言葉しか選った事もない私は

きっと扉の前で時間の過ぎ去っていくのを

阿呆面で待っているしかないのだろう

僕は害虫です

夜の伝書鳩が耳元で囀りを繰り返す

貴女の声も貴女の声も貴男の声まで聞こえる

運ばれてきた言葉は脳味噌を割拠し

眼球から雑巾の様に絞り出されていくのだ

言葉は言葉を産み

言葉は言葉を殺し

私も何時かは言葉だけの存在になる

私の言葉は「胡蝶蘭」だけなのに

鳩は総ての花を啄もうとする

砂に成っていく私は誰にも見られたくないのだ

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