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嘘の遺稿

コペルニクスになるのだと思っていた僕は
空を見ることもせずに文学を読み漁っていましたが
よくよく考えれば僕は明き盲なので
一文字も太宰治の気持ちは解らなかったし
一文字も太宰治にはなれなかったのですが
きっと彼も僕みたいに死んだのだと思います
だってずっと僕には川のせせらぎが聞こえている
泥棒かささぎが僕の死体を啄んでいるので
「僕は誰と同じ味がするかい」と尋ねれば
「貴方は腐った女の味がする」と言われたので
間違いなく僕は太宰治なのです
だから自殺してもいいし
カルモチンに頼ってもいいし
ヒロポン中毒になってもいい
そうしてお星様になればきっとコペルニクスにもなれると
僕は脳味噌をスポンジにしながら考えているのです

貴女の事なんて、惜しくないから、僕は太宰になります
グッド・バイ、グッド・バイ
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お豆腐

貴女ではなく、貴女でもなく、貴女の夢を見ました
貴女と肢体を絡ませる私をみて貴女と貴女は何を思うのでしょう?
蔑みと冷笑の冷やっこは指を触れるだけで崩れてしまいます
もう居場所なんて貴女の中にも、貴女の中にも、ましてや貴女の中にもないのに
自分の居場所がまだ何処かにあると彷徨い歩いた赤羽の駅
埼京線のヘッドライトがにっこりと僕に優しく微笑むので
優しい光に包まれたい僕はついつい飛び降りでしまいました
血みどろの冷やっこはもう粉々で真っ赤で真っ赤で
夕日の照り返しと散っていく桜の花びらも相成って
「あぁ、僕にもやっと春が来た」とバラバラ死体は思うのでした
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