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飛行機が上へ落ちていく

2018.06.25 (Mon)
乗客に日本人はいませんでした
処女はいました
童貞もいました
ホモセクシャルもいました
レズビアンはいませんでした
キツツキはもちろんいなかったし
人魚ももちろんいませんでした
僕もいませんでした
僕は必要のない人間でした
なのに其処にはいませんでした
部屋でイタリアのバカンスの夢を見てました
見る必要のない夢を見てました
だから僕は必要がなかったんです
僕が其処にいる必要はありませんでした
ただカラスが鳴いたので目を覚まして
寝惚け眼でテレビジョンの神様を呪いました
今日はそれだけでした、明日もきっとそれだけです

家事≒火事

2018.01.19 (Fri)
僕は貴女の料理を食べる事はもうできないのだな
貴女の料理が対岸の家事になってしまってからどれくらい経つのだろう
夜空に貴女の顔が浮かぶのをかき消すように必死で自転車のペダルを漕いで
どこへ向かうわけでもない、この街をぐるぐると、ただぐるぐるとして
全てから逃げ切ったつもりなのに「隙だらけだぞ」と月は付きまとい
だから僕は月にこんばんわとごめんなさいと境界線の言葉を発した
そして自宅に帰れば自宅が全焼している
思い出も家族も全て全てが燃えてしまっていて
僕は貴女の事を考える余裕などないのです
なのにこの火力ならあなたのチャーハンを再現できるかな、とじっと火を見て
雲に隠れてしまった月が二度と出てこないよう祈るのでした

夏を知っている

2017.12.03 (Sun)
日差しはどこにも迷うことなく真っすぐに僕に突き刺さり
汗はうろうろと迷いながら滴り落ちていく
ガタガタとうるさい扇風機が温い空気をかき混ぜて静かだ
セミの鳴き声、車のクラクション。夏休みの子供、壊れた扇風機
すべての騒音の中でただ沈黙している僕は静けさをぶち壊すように口を開いた
「死にたい」
夏はもうとっくに終わっている、僕はそれを知っている

眼の旅

2017.11.27 (Mon)
駅のホームで近づいてくる電車の音を聞きながら
グレープフルーツジュースでブロンを流し込んでいます
眼球はすでに1本前の快速電車に乗っていってしまって
今は戸田公園を走っているのがよく見えます
眼球にだけはさよならが言えたので僕はバラバラになっても生きていける
だから僕はこの鈍行電車に轢断されてもいい
だって眼球はどこまでも旅を続けてくれる
和邇ヶ淵だって香良ノ岡だって行ってくれて
きれいな景色を見続けながら僕は果てれる
こんな幸せな最期を迎えてれると思ったのに
目の前は見えないからスマホに遺書が書けないので
今日は和民で一人お酒を飲んで帰ります
その頃には眼球も疲れ果てて帰ってくるので
「おかえりなさい」と言ってあげるのです

僕が生きようと思ったのは

2017.09.26 (Tue)
死ぬつもりなんてなかったんです
そこに120錠の錠剤があったから飲んだだけで
長く眠れるといいなあと思いながら床に就いたんです
夢の中ではサソリが噴水の中を泳いでいました
扇風機が空を飛び、四肢を切断されたライオンが転がっていました
ピエロは子供たちにピンクチラシを配っていて
それを見た子供たちはみな頭が破裂してしまいました
そんな異様な街並みを見て僕は殺風景だと思ってしまったんです
ピエロは僕に近づき「もう帰る時間だよ」と言った刹那
僕は病院にベッドで目を覚ましました
窓の外、突き抜けるような青空を見て死ぬつもりなんてないけど
僕は生きようと思ってポケットに入っていたピンクチラシを破り捨てたのでした

きっとそうなんです

2017.04.15 (Sat)
花火が上がる夢を見た事を思い出しながら
今日も自慰行為を監視されている事に気付いて
窓ガラスを勢いよく開けたのですが
風が息子をそーっとなでるだけでした
そんな私はは耳を齧るのがしょうがなく好きなのに
自分の耳も齧れない唇を疎んでいます
私は合成獣になりたかったんです
ハゲタカのように歩き
アザラシのように飛び
チーターのように泳ぎ
昨日の私のように死にたかった
死んでしまった私の死体を解剖した博士は
実験は大成功じゃ!と脳に咲いた梅の花を見て
死んだ私と同じ目をしていました
だから私も博士も貴方も鳥も魚も虫も動物もみんな狂ってるんだと思います
だってそうでもなきゃこんな世界に誰もいられませんよね?

蛞蝓のスラング

2017.02.03 (Fri)
僕の言葉は蛞蝓になった
僕はそれをすっかり忘れて色んな人に話しかけたけど
言葉はペタペタ張り付いて勿論のこと
皆、嫌な顔をしていたし中には顔が蝦蟇の人もいた
あの娘がくれた塩むすびもそういう意味なのだな
ロイコクロリディウムの眼差しで全てを見た
私は滑空して来た鳥に食われ空へ、いい人生だった
次は支那竹に生まれ変わりたいと思う

失語症

2016.12.15 (Thu)
言葉が覚束ない夜は夜が広がっていくのを見る
月がまた孕んで、日を跨げば堕ろしてしまっている
そんな毎日が嫌なのに電車が嫌なのに雑踏が嫌なのに
僕は毎日外に出ないと暮らしていけない体になってしまったのだ
蛾がひらひら、小蠅がブンブン、僕はフラフラ
お薬が欲しくして僕は強盗をします
自ら自らを奪い自らの薬を飲んで僕は僕でなくなって
セミの声が聞こえる電車の中で電車のポールに頭突きを繰り返しました
そう、狂うべきは私であなた達は狂うべきではないのです
だから安心してください、僕はあばばばばばになります

一日、部屋にいた日

2016.09.29 (Thu)
快速急行通過電車のパンチみたいな風が吹いて
私は轢断されてしまうのかと思い身構えたのに
雨を降らしそうな雲は青空の向こうにある
私は窓を開けた部屋で一人雨の空を想像している
空が泣いてるのか、僕が泣いているのか?
次第に大きな口を開いた青空は口を閉ざして夜が来た
口の中にはたくさんのお星さまとたくさんのお月さまが
私は今日はいなくなるべき日なんだなと思い錠剤を3つ、飲みました
今日はいい日だったと言い聞かせてはいるんです
だけど今日がいい日だったと思えるのかはわからないまま
この夢が今日なら、いい日だったと言えるのになと
次第に暗くなっていく意識の中で布団をそっと掛けなおして今日はお終い
また、いい日が来るといいな

音楽は死なない

2016.06.25 (Sat)
ロックンロールが自殺した
遺書にはただ一言「Am7」と書いてあった
あの気狂いはきっと嗚咽を漏らすだろう
だけど私はコーヒーを飲みながら
フォークソングを聞いている
私はまだまだ死ぬことはないだろう
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