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肉塊奇譚

どぶ川のきらめきが僕にとって唯一綺麗な想い出でした。

夏を知っている 

日差しはどこにも迷うことなく真っすぐに僕に突き刺さり
汗はうろうろと迷いながら滴り落ちていく
ガタガタとうるさい扇風機が温い空気をかき混ぜて静かだ
セミの鳴き声、車のクラクション。夏休みの子供、壊れた扇風機
すべての騒音の中でただ沈黙している僕は静けさをぶち壊すように口を開いた
「死にたい」
夏はもうとっくに終わっている、僕はそれを知っている
2017/12/03 Sun. 14:00 | trackback: 0 | comment: 0edit

眼の旅 

駅のホームで近づいてくる電車の音を聞きながら
グレープフルーツジュースでブロンを流し込んでいます
眼球はすでに1本前の快速電車に乗っていってしまって
今は戸田公園を走っているのがよく見えます
眼球にだけはさよならが言えたので僕はバラバラになっても生きていける
だから僕はこの鈍行電車に轢断されてもいい
だって眼球はどこまでも旅を続けてくれる
和邇ヶ淵だって香良ノ岡だって行ってくれて
きれいな景色を見続けながら僕は果てれる
こんな幸せな最期を迎えてれると思ったのに
目の前は見えないからスマホに遺書が書けないので
今日は和民で一人お酒を飲んで帰ります
その頃には眼球も疲れ果てて帰ってくるので
「おかえりなさい」と言ってあげるのです
2017/11/27 Mon. 09:35 | trackback: 0 | comment: 0edit

僕が生きようと思ったのは 

死ぬつもりなんてなかったんです
そこに120錠の錠剤があったから飲んだだけで
長く眠れるといいなあと思いながら床に就いたんです
夢の中ではサソリが噴水の中を泳いでいました
扇風機が空を飛び、四肢を切断されたライオンが転がっていました
ピエロは子供たちにピンクチラシを配っていて
それを見た子供たちはみな頭が破裂してしまいました
そんな異様な街並みを見て僕は殺風景だと思ってしまったんです
ピエロは僕に近づき「もう帰る時間だよ」と言った刹那
僕は病院にベッドで目を覚ましました
窓の外、突き抜けるような青空を見て死ぬつもりなんてないけど
僕は生きようと思ってポケットに入っていたピンクチラシを破り捨てたのでした
2017/09/26 Tue. 21:07 | trackback: 0 | comment: 0edit

きっとそうなんです 

花火が上がる夢を見た事を思い出しながら
今日も自慰行為を監視されている事に気付いて
窓ガラスを勢いよく開けたのですが
風が息子をそーっとなでるだけでした
そんな私はは耳を齧るのがしょうがなく好きなのに
自分の耳も齧れない唇を疎んでいます
私は合成獣になりたかったんです
ハゲタカのように歩き
アザラシのように飛び
チーターのように泳ぎ
昨日の私のように死にたかった
死んでしまった私の死体を解剖した博士は
実験は大成功じゃ!と脳に咲いた梅の花を見て
死んだ私と同じ目をしていました
だから私も博士も貴方も鳥も魚も虫も動物もみんな狂ってるんだと思います
だってそうでもなきゃこんな世界に誰もいられませんよね?
2017/04/15 Sat. 20:56 | trackback: 0 | comment: 0edit

蛞蝓のスラング  

僕の言葉は蛞蝓になった
僕はそれをすっかり忘れて色んな人に話しかけたけど
言葉はペタペタ張り付いて勿論のこと
皆、嫌な顔をしていたし中には顔が蝦蟇の人もいた
あの娘がくれた塩むすびもそういう意味なのだな
ロイコクロリディウムの眼差しで全てを見た
私は滑空して来た鳥に食われ空へ、いい人生だった
次は支那竹に生まれ変わりたいと思う
2017/02/03 Fri. 14:06 | trackback: 0 | comment: 0edit